The sense of wander


子供達の世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれて
います。残念なことにわたしたちの多くは 大人になるまえに澄みきった洞察力や、
美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
 もしもわたしがすべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもって
いるとしたら、世界中の子どもに、生涯消 えることのない「センス・オブ・ワンダー
=神秘さや不思議さに目をみはる感性を授けてほしいとたのむでしょう。
 この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という
力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに
対する、変らぬ解毒剤になるのです。


子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生み出す
種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受 性は、この種子をはぐくむ肥沃な
土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
 美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、
思いやり、憐れみ、賞嘆や愛情などのさま ざまな形の感情がひとたび
よびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。
そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。 


自然にふれるという終わりのないよろこびは、けっして科学者だけのものでは
ありません。大地と海と空、そしてそこに住む 驚きに満ちた生命の輝きのもとに
身をおくすべての人が手に入れられるのです。 


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